欠点に見えるものが、正解だった。
欠点に見えるものが、正解だった。
なぜ作ったか
Jacketと同時に作ることは最初から決まっていた。上下セットで、日本のワークを掘る。それが今回のテーマだったから。
加えて、紐で縛るという構造への興味があった。日本軍のアイテムにも見られる仕様で、掘る前から引っかかっていた。ウエストを紐で絞る。その設計思想の根拠を、実物から読み解きたかった。

何を参照したか
掘ってみて印象に残ったのは、二つ。ポケットの少なさと、ウエスト見返しの構造だ。
見返しは細長い長方形で、両端に生地の耳がそのまま使われていた。後中心で畳んで長さを調整する仕様。合理的で、素直で、ワークらしい作り込みだった。ただ、FUKUBORIでは耳付きの生地を使っていないため、この仕様を完全には採用できていない。参照したけれど、辿り着けなかった部分として、正直に記録しておく。
何を選び、何を捨てたか
ポケットは、右後のフラップ付きパッチポケットと、右前のウォッチポケットのみ。実質一つ、と言っていい。
迷いは毎回ある。でも、便利にするために要素を足す行為はFUKUBORIのルールから外れる。貫いてこそ、FUKUBORIだ。
ポケットが少ないことは、不便だ。
しかし着てみると、腰回りに厚みのストレスがない。
欠点だと思っていたものが、別の快適さだった。
生地はJacketと共通の20双強撚ツイル。上下で同じ生地を纏うことで、日本のワークが持っていた「綺麗に作ろう」という意志が、セットアップとして体に乗る。

この服は何者か
ウエストは100cmを超える。でも、尻はスッキリしている。
ワークウェアでありながら、トラウザーのような綺麗なシルエットがある。最初は矛盾に見えた。でもパターンの視点で見れば、これは矛盾ではない。ウエストが大きいからこそ股上が起き、ストンと落ちる綺麗な尻グリが生まれる。大きいことが、正解だった。
不便な構造の中に、正しい設計がある。
日本のワーク、という発見の続きが、ここにある。
FUKUBORIがやったことはシンプルだ。当時の構造を読み解き、生成りに置き換え、今の生活の中で着られる形に調整した。欠点に見えるものを、欠点のまま残した。
着てみて、気づいてほしい。不便だと思っていたものが、実は正解だったと。

