日本のワーク、という発見。
日本のワーク、という発見。
なぜ作ったか
前作のフライトジャケットで、旧日本軍のアイテムを掘った。その時に感じた引力がある。日本の物作りに触れる面白さ、とでも言えばいいか。
次は「日本のワーク」を、と考えた。でも頭に浮かんだのは量販店のワークウェアではなかった。寅壱は身近すぎる。距離が近すぎると、構造が見えにくくなる。
国鉄のナッパ服だ、と思った。
日本のワークウェアの代表格でありながら、
今の服作りからは遠い場所にある。
その距離が、掘る理由になった。
何を参照したか
実際に掘ってみると、期待通りの発見があった。良い意味で。
構造は徹底的に効率化されている。直線的なパターン。腕の大きな前振り。日本らしさを感じる設計思想だ、と思った。
そして袖口の7本タック、ウォッチポケット。分かりやすいディテールほど、なぜそこにあるのかを問い直す価値がある。機能から生まれたはずのものが、結果として服の顔になっている。
もう一つ感じたのは、「綺麗に作ろうとしている」という意志だ。ワークウェアでありながら、服としての佇まいを諦めていない。その誠実さが、構造の隅々に残っていた。

何を選び、何を捨てたか
生地は西脇産地の20双強撚ツイルを選んだ。
備後のデニムとは対照的な、線の細い、緊張感のある生地だ。初めて触れた時の印象は「綺麗なワークツイル」だった。それだけで十分だった。国鉄ナッパ服が持っていた「綺麗に作ろう」という意志と、この生地の性格が重なった。選ぶ理由はそこにある。
縫製は少し迷った。ヴィンテージを参照するなら、チェーンステッチが定石だ。でもこのジャケットにおけるチェーンの位置は、ほとんど見えない場所にある。見えないなら、話は変わる。

チェーンステッチは見えない。
ならば、この生地のラインを歪ませない縫い方を選ぶ。
ここでも「キレイに」を選んだ。
シングルステッチはパッカリングが少なく、カーブも綺麗に縫える。生地の持つ緊張感を、縫製が殺さない。ヴィンテージの定石よりも、この素材との対話を優先した。
この服は何者か
日本のビンテージ、良いじゃないか。
それが正直な感想だ。掘ってみて初めてわかる種類の良さが、ここにある。効率と誠実さが重なった場所に生まれる、独特の佇まい。国鉄ナッパ服はその代表だと思う。
FUKUBORIがやったことはシンプルだ。その構造を読み解き、生成りに置き換え、今の生活の中で着られる形に調整した。デザインは足していない。ただ、当時の意志をそのまま今に繋いだ。
上下で揃えると、その意志がより明確になる。日本のワークウェアが辿り着いた「直線の美しさ」が、セットアップとして体に乗る。

