ビンテージを再解釈する。

そして徹底的なプロダクトアウトをする。
そう決めて作り始めて5ポケットジーンズが、完成しました。

ここまで書いてきた開発の記録は、最終チェックなど細かい点においてAIを使用しています。
今や珍しい事では無いと認識していますが、今書いているこの記事においては全文を自分の言葉で綴りたいと思います。
自分で全て書くよりも、AIの力を借りて読みやすい文章にする事の方が良い可能性はあるが、
本気で向き合って作った製品を本気の自分の言葉で説明します。

完璧では無い完成

興味はあるけど細かく読む時間が無い。
そんな方も居てくれるかもしれないので結論から書いておきます。

洗って捻じれるのでは無く、洗いで捻じれを戻す計画は成功しました。

中途半端な書き方をするのには訳があって、全体のねじれを全てコントロールする事は不可能に近いんです。
一見すると生機なのに捻じれて無いパンツに見える所にはたどり着いています。そこまでは実現出来ているが、本当の細部まで観察する事が出来たならば、全く歪みの無いパンツになるほどの補正が出来ている訳ではありません。
ですが、それは大きな問題では無いとも考えています。

なぜなら、今回の製作は、
FUKUBORIとしてのビンテージの再解釈であり、完璧な美しい製品を作る事では無いから。

要するに、
「ビンテージの要素を全て押えつつ、生機なのに捻じれていないように見える」
これこそが今回の目的地であり、そこには確実にたどり着いているからです。

それは即ち、普通では無い物。
穿いた印象は、普通の5ポケットパンツでありながら、なんだか違和感がある。

ビンテージやレプリカに日々触れている人たちからは
「これ生機!?」というイメージに繋がるし、あまり詳しく無い方にも
その違和感は確実に伝わります。

児島のアトリエ併設のNAYA(ギャラリーSHOP)に置いてあるので気軽に
違和感を体験しに来てもらえると嬉しいです。
10月の23,24,25,26日に受注も含むイベントを開催の予定にしています。
23日(金)11:00〜19:00
24日(土)12:00〜15:00
25日(日)11:00〜19:00
26日(月)11:00〜19:00
※24日土曜日は都合により時短になるので要注意
※WEBでの販売も同日23日12:00より開始

製品情報

さてさて、ここからは仕様や何を考えて作ったのかという事に触れつつ細かい点を書いていきます。
デニム生地については、これまでの経緯に書いてきましが、
「Big-Eのデッドストックを解析して作った完全オリジナル」です。

生地については専門ではない事もあり、細かく語る事はあまり無いのだけれど、僕が思うこの年代の良さについてお話したいと思います。

生機でありつつ、40年代のようなザラ感や濃紺のTHE VINTAGEっていう程の粗野な粗々しさは持ち合わせていないものの、適度に青く、適度に整った表情を持っています。

それ故に、色落ちも当然バキッバキッとしたアタリになり辛い可能性が高い。
可能性で留めておくのは、このデニムで履き込んだ実物はまだ存在しないので予測段階だからです。
(色落ちについては、サイズや洗い方など穿き方による影響の方が大きいのは前提として)

80sという完成に向かって仕上がっていく過渡期を感じる重要な年代だと感じています。

思想と構造の原点を分ける。

思想は00年頃の名作、
「リーバイスRED 1st Standard」
ビンテージの再解釈という考えをサンプリングさせてもらいました。

構造については、
「60s 501-Big-E」
生地開発の元になった年代でありつつ、縫製においても過渡期を多く感じる事が出来る
僕の一番好きな年代です。(デッドストックは全体写真撮り忘れのため別の個体)

当時の意図を拾う

僕はパタンナーですが、それはシルエットを作ると同時に、縫製仕様も細かく見る作業でもあります。
加えて、当時の服の観察において縫製仕様はかなり重要なポイントです。
全部書いていくと胃もたれするクドイ内容になるので、分かりやすく面白いポイントから書いてみようと思います。

糸の種類と色落ち

古いジーンズは綿糸で縫製されています。
それはいずれポリエステルの糸へと変化していくのですが、そういった変化は一気には訪れません。
1本のジーンズの中に、綿とポリの縫製糸が混在する過渡期が存在します。
綿の糸は経年変化で色が落ちていきます。ポリの糸は殆ど経年変化での退色はありません。
これによって、穿き込んで色落ちしてやっと分かる糸色のコントラストが生まれます。

当時の人が色落ちの先まで考えていた訳では無く、縫い上げた状態では近似色で問題無いと判断したんだろうなと想像して、偶然生まれたデザインのような気がして僕はたまらなく好きです。

そしてサンプリングしているBig-Eの年代はそんな過渡期の中に存在しています。
FUKUBORIでも今回は採用です。ただし、綿糸の部分はコア糸と呼ばれる糸に変更しています。
コア糸とはポリの強度を持ちつつ、綿の退色を実現しているハイブリッドな糸です。

色落ちと共に、何処の糸の色が変化していくのか。そんなコントラストを楽しんでもらえたら嬉しいです。

生機特有の皺

この画像が洗い後ですが、コインポケットにタテに皺が走っているのが分かるでしょうか?
これはコインポケット本体とその下の土台部分の生地の方向が異なり、尚且つタテヨコの縮率に大きな差がある事で発生します。
カミナリ皺などと呼ばれ、愛好家の皆さんから愛される仕様の一つです。

これは生機独特の仕様として採用しました。
生機なのに捻じれていない身頃に対して、生機特有の仕様をぶつける。
そんな違和感もこのジーンズのポイントの一つです。
是非洗ったら注目してみて欲しいです。
あなたの皺はどう育つのか。

片耳仕様

捻じれと向き合う。
それは即ち制約の移動でした。
結果として脇の耳は片方になりました。耳というのは多くの用途を含んでいると僕は考えています。
・縫代の端処理が必要無い。
・生地の端を使う事で無駄が無い。
・見た目が良い。
・あのブランドかも。という視認性。
これらに加えて、
・型入れを想像出来る。
これも掘る男である僕には重要で面白い点。

REDについてはこの耳のお陰で型入れを想像して、無駄の無い形をしている事を想像する事が可能になっています。それを感じた僕は、REDの耳使いはリッケコルフの
「これで想像出来るだろ?お前に分かるか?」
という挑戦状なような気がしています。完全に痛い妄想ですが。笑

そして、その要素もこのジーンズには入れ込んだつもりです。
でもここではこれ以上あ語らないでおきます。
耳の位置や使い方を確認して、想像してくれる人が一人でも居たらそんなに嬉しい事はありません。

型入れってそもそも何って方を始めだれでも、是非対面でお話出来る際には何でも答えますので
遠慮なく聞いてくださいね。

必然で出来る尻ぐり

お尻の型紙の形は501らしさを形成する大きな要素で、それはかなり直線的です。
具体的には前回書いているので名言は避けます。
結果として、このジーンズは尻の形はカーブしています。
生機なのに捻じれて居ないし、明らかにビンテージの501を意識しているのに尻にカーブがある。
特にこの2点が大きな違和感となって襲ってきます。
この違和感を抱きしめて良いのだろうか?と一瞬だけ止まって考えました。

「この違和感こそ、挑戦と新鮮の証」

ビンテージのデニム、生機の5ポケットジーンズという物の既存の枠から飛び出したのだから、
違和感があって当然。違和感と新鮮は紙一重であり、それも楽しめる事が
工業製品であり、ファッションでもある服の魅力なんだと感じています。

隠しリベットは無し

今回は隠しリベットはありません。
構造として参考にしたの物に無い。というのが最大の理由ではあります。
僕は隠しリベットが大好きです。隠してでもリベットを打つという当時のアイデンティティへの拘りが溢れ出る仕様だと感じるからです。

その反面、
そうまでして残し続けてきた隠しリベットを無くすという判断を下した。
という事実が刻まれているので無くても同じくらい好きなのです。

加えて、着用する事を考えると不要かなと思うのです。
お尻で踏むと痛いときがあったりするのが気になります。
ちなみにこれはリベットの位置と腰履きしがちという僕の穿き方の関係が大きな理由になるので誰もがそうなる訳ではありません。

釦について

今回は鉄製の釦を選んでいません。
鉄にしか出せない妖艶さは確実にあります。
錆びるという不具合さえ、古い服の上では魅力に見える事もある。
ただ、これから日常で着てもらう服として考えると、その魅力だけで選ぶ事も出来ません。

ここも、選択はトレードオフです。

一方で、二本脚という構造には拘りました。
二本の脚を曲げてかしめる。その構造によって生まれる見た目に、僕は魅力を感じています。
一本脚へと変わっていく過程も含めて、釦ひとつに作り方の変化が残っている。
潰してかしめるか、曲げてかしめるか。

普段は気にする事のない違いですが、服を掘っていくと、こういう所も気になってしまいます。
鉄という素材を選ぶ事と、二本脚という構造を選ぶ事は、それぞれに考えたい。
今回の釦も、今の服として使う事と、残したい魅力との間で選んだものです。

紙パッチと縫製

パッチは紙を採用。
8㎝×6㎝の一番多く見るサイズで1㎜厚を採用してます。
紙としての存在感を感じて欲しい。
取り付け方も特殊で、ベルトの上側のステッチから繋げて一筆で縫いで取り付けています。
ベルトの上側のステッチがチェーンステッチに変化する以前のビンテージの仕様で、当時は効率的だった事が、今では非効率でそれが拘りに変わっている。そんな現象も面白さの一つだと捉えています。

対になる存在

この企画を始める際に思い描いたのは、
再解釈と共に、レプリカに近いFUKUBORIとしての王道5ポケットも同時に制作する道でした。
今回は、生地が想定より少なかった事で断念しましたが、構想としては生きています。

そしてなんと、同時に別の生地での開発も進行しています。
そちらはまだ完成という状況には無いのですが、今回のBig-Eの生地よりももっともっとvintageライクな生地を採用しています。
もっとザラ感があり、濃い紺色。
そうなってくると、仕様をこのままいくのか?という疑問が生まれます。

生地は変数だ。と言いながらも最適化はさせていきたくなるものですね。
結果、仕様も変更する方向で動いています。

今回の60年代意識の生地と切り分けて、よりvintage感のある生機を採用する際には
仕様もXXを意識した物にしていきます。

そしてXX仕様バージョンにおいては、
再解釈と再構築を並べて比較して検討してもらえるように展開させる予定です。

今回は、Big-Eを解析したオリジナル生地での展開です。
その先には、別の生地とXXを意識した仕様で、再解釈と再構築を並べる展開も考えて進行中です。
そちらは卸先の店舗の皆さんにも届けてもらえるよう、相談中です。

このことは今は書かない方が良いのでは?
という気持ちは少なからずあるし、
「そんな事したら売れなくなる」
そんな意見ももらいましたが、

近い未来に別の選択肢がある事を隠して今回の完売を目指す。

その選択はしてはいけないと思いました。
その先に別の選択肢がある事を秘密でリリースして、
買ってくれた方が
「それならあっちの方が良かった」って思う可能性がある。

ズルいやり方と賢いやり方は紙一重だなといつも思います。
だからこそ、誰かが嫌な気持ちになるか?という問いを軸に考えて進むようにしたいです。

まもなく、
オリジナル生地のFUKUBORI再解釈【REDENIM】の予約販売を開始します。
その先で生地を変えて再生産しますが、生機デニムが足りてない昨今なので沢山は作れそうにありません。

前述もしましたが、
児島のアトリエ併設のNAYA(ギャラリーSHOP)に置いてあるので気軽に
違和感を体験しに来てもらえると嬉しいです。
10月の23,24,25,26日に受注も含むイベントを開催の予定にしています。

23日(金)11:00〜19:00
24日(土)12:00〜15:00
25日(日)11:00〜19:00
26日(月)11:00〜19:00
※24日土曜日は都合により時短になるので要注意
※WEBでの販売も同日23日12:00より開始

お洒落が好きで服を楽しむ全ての方に興味を持ってもらいたいのはもちろんの事、
服ヲ掘ル、FUKUBORIを面白いと思ってくれる業界の人にも是非手にしてもらいたいです。