ベンタイルという生地
「ベンタイルシリーズの製作を決めた。きっかけは、この生地の行く先が分からなくなってきたこと。生地選びの記録を残しておく」
国内のベンタイルと海外のベンタイル
ベンタイルという生地をご存じだろうか? それは化学処理や樹脂コーティングに一切頼らず、超高密度織りという「構造」だけで防水性を実現する綿100%生地の事を指す事が多いです。
1930年代後半〜40年代、イギリスで開発された事に始まり、生地というよりも イギリス王立軍のベンタイルスモックなどのアイテムに生地ありきで名前が付けられたりするのでセットで認識されている印象が強いです。
そんなベンタイル生地ですが、 国内のベンタイルと海外のベンタイルが分けられて認識されていたりする側面があります。 簡潔に言えば、
・原産国が異なる(生地特性は同じだが異なる) ・商標ライセンスなど権利の部分
この二点によって区別されてきました。 ですが、2025年に商社の介入によって統合されていく可能性が見えてきた。
そこで僕が考えた事は、
「本国ベンタイルが使えるうちにスモックを作ってみたい」
本気のベンタイルスモックを。
色んな意味でハードルの高い生地なのでもっと先で作るつもりでいましたが、 ベンタイルという生地そのものの行く先が分からないとなると今やってみたい!と。
もちろん好転して付加価値が高まる可能性も結構な割合であると思うが、 万が一逆のケースもあり得ないとは言えないからね。
という事で、 ベンタイルシリーズの製作を決めました。
生地探しはあくまでもここから。 瀧定名古屋にどうやら取り扱いがある事が分かったのでいつもお世話になっている生地屋さんに相談。 その時はまだベンタイルとは呼ばれていなくて(国内ベンタイルの都合で本国のはベンタイルとは名乗っていない) 1択しか選択肢が無かった。
これしかない。
そう言われてそれでサンプルを進めていく方向で動きながら、 1択なんて事はあるかな?と思い調べていくうちにもっと種類がある事がわかってきました。 品番までなんとか調べあげて、これが見たいのだが、、と問い合わせてみた所、
少し時間はかかったけど、 現物のスワッチを沢山見させてもらう事が出来た。
全部見た上で、結論は、 今選んでいる生地で良い。という事になった。
瀧定に問い合わせたりスワッチ手配してもらったりと、生地屋さんには本当に感謝している。 結果は同じだったかもしれないが、この工程を踏む事で本当に納得いく生地選びが出来たと感じている。
コストで言えば、 国内ベンタイルの4倍くらいかかってしまうのだが、 FUKUBORI Archiveにおいてはこの系譜を踏む事は本当に重要な事なのだ。
FUKUBORIのベンタイルシリーズの製作は 納得できる生地がきちんと選べたから動き出したと言える。
補足
国内の商標の都合で、本国産の生地は日本では「ベンタイル」を名乗っていない。
本稿では便宜上、本国ベンタイルと呼ぶ。