FUKUBORIとして作ったREデニムについて、製品の紹介まで書いてきました。
何を考えて、何を選んで、どんな形になったのか。
そこまで書いて、もう一つだけ書いておきたい事があります。

「色落ちについて」

製品は完成しています。
だけどデニムパンツは、穿いて色落ちしていく事も、大きな楽しみの一つです。

古い服を見ていると、前のオーナーがどんな人だったのか、どんな着方をしていたのかを感じる瞬間があります。誰かが穿いて、洗って、時間を経てきた物。
新品の時からそこにあった形と、着る事で生まれた形が、一着の中に重なっています。


自分の穿き方、洗い方で自然な色落ちを楽しむのか。
理想の色落ちを目指して穿き込んでいくのか。

穿き方は人それぞれで、それが良い。

今回の生地を作ってもらう中でも、数値を揃える事と、
時間を経た物に近づく事は同じでは無いと感じました。

じゃあ、今作ったこの生地が、今の誰かの日常を通ったらどうなるのか。
そこに興味が向いています。

ただし、このデニムで長く穿き込んだ実物は、まだ存在しません。
こんな色になる。ここにこんなアタリが出る。
そこまで分かっているようには書けないし、僕の予測通りになって欲しいわけでも無いのです。
サイズの選び方や穿き方、洗い方でも変わるでしょうし、同じ物から始まっても、見えてくる姿は違うはずです。

そして、もう一つ気になっている最大のポイントが違和感です。

普通の5ポケットジーンズのようで、なんだか違う。
地の目の影響もあるこのパンツの設計によるその違和感は、色が落ちても残るのか?

それとも、穿く人の身体や日常に馴染んで、気にならなくなるのか?
色が落ちる事で、今は気にならなかった所に目が向く事もあるかもしれません。

どっちでしょうね。
僕は、どちらも見てみたいです。

FUKUBORIとして製品を作る事は、服ヲ掘ルで得た知識を形にするだけでは無いと感じています。
自分で選んで、作って、着てもらう。
その経験から、また古い服を見る時の視点が変わる。
探求と製品は別の活動ですが、僕の中では繋がっています。

ただ昔の服が面白かったと説明するだけでなく、今の服として、自分が面白いと思う物を作りたい。
そして、それを面白がってくれる人と話したい。
作った理由を全て説明し終えたら、それでおしまい。という関係にはしたくないのです。

なので、今回のデニムは、その先まで一緒に面白がってもらえたら嬉しいです。

大げさに言えば、新しいデニムの実験の共犯者になって欲しい。
製品として作るところまでは僕の仕事で、穿いて色が落ちていく先は、穿く人と一緒に見ていく時間です。

特別な穿き方をお願いしたい訳ではありません。
それぞれがそれぞれの穿き方をしていればいいだけ。

日常で穿いて、洗って、気づいたら変わっていた。
そんな時に「こんな風になったよ」と、話や写真を見せてもらえたら嬉しいです。
僕の想像と違っていたら、それもかなり面白い。

色落ちこそ完成。
そう言いながら、どこを完成とするのかも、穿く人によって違うのかもしれませんね。

違和感は残るのか。馴染むのか。
その続きを、一緒に見てもらえたら最高に嬉しいです。

製品の詳しい話は、FUKUBORIの「違和感こそ挑戦と新鮮の証。」に書いています。